━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━           紫陽花の季メルマガ □■ コロナうつの現場にて ■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *2020年が、まさかこのような事態になるとは、誰も思っていなかったでしょう。 年初めからの新型コロナウイルスの感染拡大で、半年が終わろうとしています。 2003年に産業カウンセラーとして開業して17年、毎日カウンセリングの現場にいて 7万人の臨床を経た私でも、コロナうつは今までのうつとは違う、と実感しています。 *コロナうつとは、新型コロナウイルスの影響でメンタル不調になってしまう状態のこと で、メンタル不調から“適応障害”“うつ病”を含む広義として使用されています。 では、今までのうつと、何が違うのか。 今までのうつの症状に加えて、不安と恐怖がとても強く発症しています。 先が見えない不安や、自分も感染するかもしれないという恐怖を、誰もが持っているから だと思います。 仕事のやり方が変化して、家庭での過ごし方も変わり、国が『新しい生活様式』を公表 する今、私達のこころにも変化が見られます。 「いつもと違うな」「今までと何か違う」という状態の渦中にいるのですから、 ストレスを感じたり、イライラしたり、「なんか、けだるい」や無力感を感じるのは当然 で、自然なことなのです。 ◆赤坂クリニック院長の坂元薫先生の教示 6/13日本テレビ「世界一受けたい授業」 ◇コロナうつ10のチェックリスト 1,憂うつ、不安になることが多い    2,何に対しても興味が持てない、楽しめない 3,食欲がない/食べ過ぎる       4,眠れない/眠り過ぎる 5,何もする気力がわかない       6,考えがまとまらない、集中できない 7,疲れやすく、だるさが取れない    8,自分を責めてばかりいる 9,3密に対して、過敏になり過ぎる  10,コロナニュースを見ると落ち着かない この10項目のうち3項目以上に当てはまればコロナうつの可能性があります。 但し、各項目が数日程度であれば、深刻になる必要はありません。 ◇コロナうつに打ち勝つ6つの方法 1,情報を制限する  四六時中コロナのニュースをチェックしてしまう人は要注意です。  いたずらに不安材料を増やすことになります。  1日に情報収集をする時間を決めて、入ってくる情報を意識的に絞るとことが必要です。 2,リアルタイムのコミュニケーションは積極的にしていく  会話を増やしましょう。ひとり暮らしのお年寄りは孤立してしまうケースもあるので、  家族が頻繁に電話をかけてあげましょう。 3,受け入れる能力(ネガティブ・ケイパビリティ―)が大事  ネガティブ・ケイパビリティ―とは、直ぐには答えの出ない、どうしようもない事態に  耐えて受け入れる能力のことです。  規制は緩和されてきたが、どこまで生活を律すればいいの?に明確な答えはありません。  そこで、自分ができる最善のコロナ対策をしたら、後はもう運を天に任せる!その位の  気持ちでいる方が予防になるのです。 4,思い出の写真を見る  精神域に不安定な時は、楽しかった思い出の写真を見ると、リラックス状態を表すα波  が増えて、脳がリフレッシュすることも確認されています。  この方法はライフレビューとも呼ばれ、実際の治療でも使われています。 5,感謝の気持ちを持つ  こんな実験があります。参加者を2グループに分け、一方には1週間を振り返って感謝  できる出来事を数えてもらい、もう一方には不満と感じる出来事を数えてもらいました。  すると10週間後、感謝を数えたグループは、不満を数えたグループより幸福度に25%  も差がついたのです。  どんな状況下でも、感謝の気持ちを持っている人は精神が安定しやすくなります。 6,映画鑑賞  映画鑑賞のような自分が好きな、何か没頭できることをすると、頭の切り替えにとても  効果的です。ストレス発散方法がない人はこの時だからこそ、没頭できることや楽しめ  ることを見つけましょう。 ◇子供は不安を表現することが未熟なので、いつもより沢山ほめてあげて下さい。 *こころの元気を保つためには、何と言っても3つの基本が大切です。 T,睡眠…脳を休ませること。質と量共に良好な睡眠を。      寝る2時間前には、スマホやPCのブルーライトはOFFにしましょう。      睡眠の質を下げるアルコールやたばこは控えましょう。 U,食事…脳に栄養を入れること。脳の栄養はブドウ糖(炭水化物=米・穀類)なので      3食摂取を。朝食は抜かないように。 V,運動…血行を良くすることは、気分転換や快適な睡眠につながります。      ストレッチやウォーキング等を、続けましょう。 *新型コロナに感染した人は、すっきり良くなる人の方が多いのですが、高山先生の病院  では約2割の方は、何らかの症状が数週間続くとのことです。  治って退院しても、・長引く体調不良がある・なぜか感じる後ろめたさがある、という  ことが解ってきました。 ◆沖縄県立中部病院感染症内科の高山義浩先生の教示 6/24NHK「クローズアップ現代」 ◇長引く体調不良の原因 1,臓器障害(肺の損傷)…肺の回復のプロセスが遅れている可能性がある 2,長い入院による体力低下…感染が心配でリハビリ病院への転院ができていない 3,心理的・社会的ストレス…退院しても不安や恐怖があり、うつ状態のまま長引く 4,ウイルスの持続感染?…ウイルスが臓器のどこかに潜伏しているのではないか? ◇感染症対策には、決定打というのは無い。自分が出来ることを地道にやって、リスクを  減らしていくしかありません。・症状のある人は仕事を休む・手をきちんと洗う・マスク  をつける・皆が触れる所を消毒する、を続けていくことです。 ◇発生したら、皆で助けてあげる。 “お互い様”で助け合う感覚が必要だと思います。 ◆大阪大学大学院教授(社会心理学)の三浦麻子先生の教示 (6/24同上) ◇今年3〜4月に5ヶ国で新型コロナに関する意識調査をした。 『新型コロナウイルスに感染する人は自業自得だと思う』の問いに、非常に大きな違いが あった。 『そう思う』という人の割合が、・日本人=11,5%・アメリカ=1,0%・イギリス=1,49% ・イタリア=2,51%・中国=4,83% 感染を自己責任だと感じている人が多い日本。 こういう風潮がより日本に強くあるならば、「なぜか、後ろめたく感じてしまう」へつな がると思います。 逆に9割の人は、『感染したのはその人の責任ではない』と思っているのです。 感染を経験した方々に、「あなたのせいではない」という温かい声かけが必要だと思います。 *1月に新型コロナウイルスという言葉を知ってから、先ず私は「感染症って何なの?」 から始動しました。人は知らないことに対して不安が強くなるからです。 過去の感染症の歴史を学び先人達がどう生き抜き、感染症が社会の変革をもたらした歴史 を知りました。そして当時は夜に発表していた県内の感染者の詳細をメモして、厚生労働 省発表や専門家会議が発表する内容をテレビや新聞で確認してきました。 その情報を取りまとめて、全顧問先様へ資料添付でPC送信をする日々が続きました。 2月末には県外の顧問先様へ、訪問面談でのカウンセリングをオンラインでのカウンセリ ングへ移行したい旨の申し出を行い、3月には顧問先様社内での態勢作りをして頂き、 4月〜県外顧問先様の定期カウンセリングは、全てオンラインへ移行となりました。 更に、国が5/13〜初診患者へのオンライン診療が公的医療保険の対象となり本格的に始ま ったことを受けて、6月〜私の日曜外来のカウンセリングもオンラインで実施しています。 ピンチはチャンスです。 ありがたいことに、新規の顧問先様との契約を頂いたり、県外をオンラインで出来るなら、 と本社だけで実施してきた定期カウンセリングを全営業所で実施する決済も頂きました。 さあ、これから!と、今私は大きな動きを展開している真っ最中です。 コロナ禍の非常事態で半年が過ぎ、ここからがメンタルケアが重要な時期となります。 泣いている人を、決して独りぼっちにはさせない!を胸に、今日もこれから現場です。 梅雨の合間に見える清々しい優しい青い空と、健気に咲く紫陽花に勇気をもらいながら。