━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━         □■ 若い世代へ大人はどう向き合っていけばいいのか ■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *今年も3月から始まった新入社員へのメンタルヘルス「セルフケア研修」が、6月上旬  のこの時期でようやく終了となりました。開業以来続けておりますが、16年前とは新入  社員の様相が激変していることを肌で感じます。   ●話を聞いてもメモが取れない新人が多い  なので、重要な内容は、私が言った通りに書いてもらうのですが、   ●漢字が書けない ●文字を書く速度が遅い  更に愕然とするのは、   ●レジメの文章の意味が、読解できない新人が多い   ●うなずく人は少なく、キョトンとしている人が多くなった  講義の中で、生活習慣の状況を質問すると、   ●朝食を食べない新人は多数   ●起床した時に「爽やかな朝だな」と感じる新人は「0」   「だる重い」と感じて起床する新人は「全員」    “爽やか”という言葉の意味が解らない、と言う   ●就寝する直前までブルーライト(PC・スマホ)を見ていた人は「全員」   ●夜中の1:00・2:00に寝るのは「いつも」  そして、困ったことがあった時に相談できるサポーターがいる人は、16年前に比べて   ●8割➡2~3割に減少しています。  SNSでいいね!と言ってくれるスマホ世界での友達は数多くいるのに、現実の世界で自  分のことを相談できる人はいない。これが現実です。 *多くの顧問先で、「最近の若い人達へどう対応したらいいのか解らない」という上司から  相談を受けることが増加しています。  日本は空前の労働人口減少社会となった今、会社組織にとっては、若者をきちんと理解  して数少ない若者が組織で活躍できるように育成することが、私は最大の経営戦略だと  思っています。  日々のカウンセリングで出会う若者に、私がどう接しているのかを申送ります。  ○先ずは、『躾がされていない』を大前提に、社会におけるルールを教え続けて、訓練し   ていくことが最重要だと痛感します。社会でのごく当たり前のルールというのは、そん   なに多くはないのですが、今はそれが何なのかを知らない。だから守れないのです。   ★食事と睡眠が全ての基本 ★あいさつをすること ★時間を守ること   ★会話をする時は目を見ること ★うなずきやあいづちをしながら会話をすること   ★返事は「ハイ」と言うこと ★無言で頭を下げるのは、返事ではないこと  「これだけは守っていこうね」と教えると素直に実践していきます。  ○自分の考えていることや感じていることを、自分の言葉で話すことを教えていく。   自分の言葉を持っている人=自己表現が出来る人=自分で考えられる人です。   今の若者の中にはガチガチに管理されている人が多く、そういう新人は一見「はい」と   受け答えは調子いいけれども、何も感じていない人や考えていない人が殆どです。   自分で考えないで、親や教師の言う通りにしていればラクチンだからです。その結果、   自分の言葉で話せない若者が多いのです。  ○若い世代は、『不安が強い』という特徴があります。   中学生の時からSNSと接して生きてきたSNSネイティブだから、いいね!を周りか   ら貰うことで安心して、自分の承認欲求を満たしているように思います。   その自己承認欲求が強くなってきているように感じます。   だから、いいね!の数を増やしたい。減ってくると「超不安で」と言う。   でも、そのいいね!と返信してくれる人の中には、自分が困ったときに相談できるサポ   ーターはいないのです。   この虚像の人間関係の中で生きている若者達の悲しさを、私は日々の外来で感じます。   私は心配な危うい20代には、「勝手に独りぼっちにならないで!今日からは私が見守   るから」と全魂を込めて伝えます。   きっと初めて聞くことなのでしょう。多くの若者がウルウルします。   更に、万一の時に命を守るために、本人と私との間で24時間体制のホットラインを   つなぎます。命を見守るとは、真剣勝負なのです。  ○今の若者は不安定な社会の中で生きているから、個人にとっての損得ということに対し   ては、とても敏感になってきているように思います。   そして、理由を言ってあげないと動きません。   つまり、『貴方にとって』時間に遅れるということは、こういう理由があるから、結局   損なんだよ、というところに落とし込んでいかないと納得しないし、動かないのです。   上司がよく言う『組織にとって』は、絶対に通じません。   指導する時には、「怒られた」ではなく、「アドバイスされた」と思ってもらうようにし   ています。当然のことですが、上司の自己満足で怒るのではなく「君のことを思って、      君が将来損をしないように注意しているんだよ」と指導していかないと、若者達は前を   向いて動かないのです。経験の浅い狭い世界で判断するのではなく、こんな見方や考え   方があるんだよ、と複眼的で柔軟的なものの見方ができる大人になるようにナビしてい   ます。  ○このような特性があるから、頑張って成果を出すとこれだけのものが君に返ってくるよ、   と明確に示す「評価や査定の見える化」や、「自分の将来のビジョンの見える化」が明   瞭な組織は、若者達にとっては居心地が良い会社になるのです。   ガツガツした高いモチベーションを持っている人は少なくなってきています。   会社は、モチベーションを上げて維持させるための仕組みを作っていかなくてはならな   いのです。若い世代は、とてもドライだし、合理的だし、公正を強く求めるようになっ   ています。この現実を実感している経営者がどれだけいるのでしょうか。   解は現場にあるのです。   若者との対話をもっとしていかなくては、組織の将来は見えないと思います。 *上司の皆様へお願いしたいことは、  ・若者との距離感は適度に保ちながら、どんどんTOPメッセージを出してもらいたい  ・答えを言ってあげるのではなく、答えを考えさせてあげる智恵を出すことが大切  ・放置しないで、少しずつ成長段階のある育成カリキュラムで先導していく  ということです。 *我々大人には、若者達を社会に有用な大人にしていくんだ、という本気の覚悟と実践が  本当にあるのかどうか、を問われているのかもしれません。  大人に本気が足りないことを猛省しながら、私は毎日のカウンセリングで若い魂と真剣  に向き合って、全魂で支えていこうと決心して、今日も動いております。