━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━          ■□■ ストレスチェックの準備、その現場から ■□■ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *『労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル』が5/7に公表  されました。全169Pに及ぶ分厚いマニュアルの精読をしています。  専門家の我々の間でも「なかなか大変な作業だよね」が感想。  企業担当者には4/22公表された『改正労働安全衛生法に基づくストレスチェッ  ク制度に関する説明会資料』→これも全63Pのボリュームですが、こちらの方が  法律・省令・指針・通達がまとまっていて解かりやすいと思います。 *現在私の元には多くの企業、市役所、団体、大学病院等からストレスチェックに関  する問合せが届いております。担当者の戸惑いや不安、準備進捗や意識の格差、多  方面からの質問等々の中で、これは本当に大変なことだと実感しています。  ・本社から何の通達も無く、何も動けていない状況   ・経営者がメンタル不調=甘い社員との認識が強いため取組みに難儀している  ・外部委託先から営業を受けているが、金額の相場も分からず何を基準に業者選定   をしたらいいのか分からない  ・今年12/1施行だから、来年の11/30までに1回実施すればいいと思っている  ・他社の様子を見ながら動いていこうと思っている  ・ストレスチェック制度を調べ込んでいて、実際の場面での質問が多数出された  ・既に残業月80H以上者へ実施しているストレスチェックを全社員へ拡大するにあ   たり、社内での対応では限界があるので外注を検討している  ・12/1の施行に関係なく、早々に進めていきたい *また実施主体者となる産業医の先生方は、担当者以上に困惑しています。  ・産業医がしなくてはならない業務が法改正の度に増える  ・開業しながらの産業医活動はもう限界に来ている  ・メンタルは専門分野外だから、ここは藤井先生宜しく頼みますよ  ・「何でも産業医へ」では今後産業医になる医師がいなくなるのではないか *厚生労働省が誇る、世界で初めて創設したストレスチェック制度。  現場で正しく円滑に導入を進めていくためには、関係者と連携を取り合いしっかり  情報共有しながら推進していく必要があります。  開業以来12年、ストレスチェック10万人の精査分析とカウンセリング臨床数2  万8千人を積み上げてきた私から申し上げたいのは、「ストレスチェックだけやれば  いい」との安直な認識ではいけないということです。  ストレスチェック制度とは、社員のストレス状況の改善や働きやすい職場環境の改  善を遂行することで、組織の生産性向上に直結する経営マネージメントなのです。    下段に顧問先へ配布したマニュアルに基づいた『ストレスチェック実施の留意点』  を提示致します。ご参照下さい。 ストレスチェック実施の留意点 ■ストレスチェックは、検査結果に基づいての事後措置⇒職場改善の対策が伴って初めて  意義があるものなので、検査のための検査で終わらせないことが大切 ■いきなりのストレスチェックの実施は厳禁  検査の意義や目的を十分に理解されないままにストレスチェックをすると、正確な回答が  得られないばかりでなく、メンタルヘルス対策そのものに不信感を抱かせる場合もあるの  で注意が必要。 ■そのためには、実施する順番が重要  @ 実施目的の明確化や時期の検討、結果を基にして何をするのか、どのように扱うのか    等を安全衛生委員会で十分に話し合い、組織として実施の決定をする。  A @の内容を文章化して、社内通知で周知徹底させる。     ◇対象 : 全社員     ◇時期 : ○1年以内ごとに1回実施     ◇回収方法 : 内容が他人に見られることがないように、回収用の封筒を用意すること     ◇目的の明確化      ○労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止する一次予防を目的とする      ○ストレスの状況を把握する為のものであり、精神疾病を判定するものではない      ○職場環境を改善するためのものである     ◇特記事項 :      ○個人情報の保護は厳守する      ○回答結果である個人情報の閲覧は、産業医や産業保健スタッフに限る      ○専門家が精査分析を行い、結果内容はメンタルヘルス対策に役立てるのみとする      ○個人の人事考課や評価には一切流用しない  B 結果報告     ・個人宛に結果通知を行う。     ・検査を行った医師等は、『あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、      当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。』     (改正労働安全衛生法第66条の10)  C 事後措置     ・事業者は、本人の申し出に応じて、医師による面接指導を実施しなければならない。     ・『この場合において事業者は、労働者が申出をしたことを理由として、当該労働者に      対し、不利益な取扱いをしてはならない。』     ・医師の指導により必要な場合には、適切な就業上の措置を講じなければならない。      ⇒就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業務の回数の減少、等々     ・『事業者は、面接指導の結果に基づき、当該面接指導の結果の記録を作成して、      これを5年間保管しなければならない。』  D 職場環境改善     ・『事業者は、検査を行った場合は当該検査を行った医師等に、当該検査の結果を      当該事業場の当該部署に所属する労働者の集団その他の一定規模の集団ごとに      集計させ、その結果について分析させるよう努めなければならない。』 ■ストレスチェックは 『医師、保健師、その他の厚生労働省令で定める者』が実施する   ・素人が実施することはできない。検査結果データの精査分析が出来ないので危険。   ・検査結果は現場の声として捉え現状把握をして、具体的な対策をしていく必要がある    ため専門家からの分析は重要となる。                                       以上