━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━           ◇◆ 再発させない復職支援 ◆◇ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *謹賀新年。 本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。 年賀状に付いてくる日本郵政の“人の心が、年の初めに届く国”と記されたPR文。  お正月にこの言葉を拝すると、「日本っていいなあ」としみじみ思います。  日本人の感性と知恵が育んできた暮らしのならわし(習慣)には、受け継がれてきた家族 の幸せを願う心そのものがあります。この文化を大切にしていきたいと思います。 *休職した社員が復職する時に、私が必ず指導する内容があります。  @睡眠と食事の見直し(生活習慣)  A考え方や感じ方の見直し(認知)  B心身からのSOSを見逃さずに早めの対処、です。 *新年に入り、カウンセリング外来の日常が始まりました。 今月は休職して昨年復職した方々にフォローアップ面談を行っています。 皆さん経過良好な様子で安心しました。 その一コマを紹介すると、  ・「24:00前には寝て6:20頃には起床して、少しのんびりした時間を取って、朝食を食    べて出社しているんです。余裕がないとダメですね。休職する前の朝時間は、今思う    と滅茶苦茶でした。今はよくわかります。」  ・「以前に大野先生のサイトを教えてもらい、自宅療養中はこんなの効くのかなと思って    いましたが、実際に復職してからやってみるとすごくいいです。重宝しています。    自分が今どんな状況でどんな思考で悶々としているのかがよく解り、今の自分の状態    のものさしになるんです。」 *精神疾患に罹患する方々には、1:00過ぎの就寝や朝食欠が多かったり、自責や完璧主義  の思考が強かったりします。  @ 精神疾病とは脳の疾病です。疲労困憊している脳を回復するには、何よりも先ず脳    を休ませる睡眠と脳に栄養を入れる食事が最重要です。  A 認知療法の自己トレーニングとして、大野裕先生が発案監修されている『こころの    スキルアップトレーニング』http://www.cbtjp.net を必ず実施してもらいます。  B 自分のストレスサインが出たら、決して無理しないでその日の内に対処することも    約束しています。  そして、働き方や生活の仕方を見直してもらい、約半年位はフォローアップ面談を継続  して行っています。主治医の先生との連携も重要で、復職支援プランを提出したり、復  職後の勤務状況を情報提供しています。  また、必要に応じては家族との面会も行い、本人だけではなく皆でバックアップして復  職支援をしています。 *精神疾患の再発は再燃と言います。初回の時に種火をしっかり消しておかないと、必ず  病状が再度燃え始めてしまうのです。  うつの再発は初回の時よりも重く、三回目の再発は更に重篤になります。  その深刻な現実を私はこの目で見てきたからこそ、復職指導は厳格に行っています。  主治医から復職可能診断書が出た時に行う最初の復職判定面談には、「今回の復職がラス  トチャンスですよ」と申し出ます。  あの重篤な状態には絶対にさせない!という強い決意があるからです。 *復職面談をしていると、「随分と大人になってきたな」「以前とは変わってきたな」と思  う時があります。生き方や働き方の見直しを真剣に行った人は、一回りも二回りも大き  な人格に生まれ変わります。そうなればもう安心です。  でも、いつまでも自分自身から逃げていて、やるべきこともやらずに言い訳をしている  人は必ず再発しています。  私が尊敬する医師が教示して下さった言葉があります。  「人がうつになるのは、その人にとって意味があるからなんだよ。」  正しく真実だと実感します。 *産業カウンセラーとして開業して今年で12年、企業で28,000人の臨床経験を積み上げ  て参りました。多くの方々とお会いする度に、『答は現場にあり』と痛感します。  28,000人が教えてくれたことが私の教科書です。  今年もひとつひとつの命と真摯に傾聴していく一年にしていきたいと思います。  どうぞ宜しくお願い申し上げます。