━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━       □■□ 桜と共に新年度へ □■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *皆さんの所は桜咲きましたか?今年の春はまだ遠いようで、寒い日々が続きま すね。ここ宇都宮は、東京から一週間位遅れてようやくの開花になりました。 桜の花と共に、新年度がスタートしました。駅で新人君を見ると微笑ましく感じ ます。私も4月に入り新入社員へのメンタルヘルス研修で、多くの若者と出会い があります。 *連日の研修疲れで致し方ないにしても、講義の席上で私が「疲れたなあと思う 人は、手をあげてみて下さい」と言うと、半数以上の新人が挙手しました。 これにはさすがの私も驚きでした。何と、としか言いようがありませんでした。 超氷河期の社会の中で、狭き門の就職戦線を勝ち取った希望に満ちているはずの 若者でさえもなのです。 *平成生まれの若者達と接していていつも思うのは、自我が成長していないな、 人として何て幼いんだろう、心棒が細いなあ、ストレス耐性が脆弱だなあ、とい うことです。私が臨床から得た持論の中に“同じ性格気質の人が精神疾患になる かならないかの違いは、サポーターがいるかどうかだ”があります。 彼等と面談する時に私は必ず「何でも話せる人はいる?」と聞きます。すると即 答で「いません!」が多いのには、毎日ビックリしています。友達や親兄弟がい ます、と答える若者に出会えるのは、一週間の内で指折り数えるほどです。これ が現状です。だから、若者に多い気分変調型のうつ=うつは軽症で、元々の性格 は神経質で不安が強く、症状がだらだらと続くパターンは、無くならないだろう と思うのです。 *更に食事は一日2食で朝食なんて小学生以来食べたことないとか、睡眠は深夜 パソコンが終わり2:00頃に電源切ってからでなかなか眠れないとか。当然です。 脳の栄養源であるブドウ糖も摂取せず、脳を休める睡眠も不十分で、脳が働く訳 がありません。食べること・眠ること、という人として丁寧な生活が確立されて いないから、若者の多くがメンタル不全に陥っていくのです。 *若者が好きな自己実現自己発見とは何なのでしょうか?自分がわかってから、 自分に合う仕事を探したいと引きこもっている若者と接すると“自分という者を 知りたいのであれば他人と接することだ”が信念の私には理解不能になります。 生きるっていうのは人とつながることなんだよ、を日々臨床の中で言い続けてい ます。自分が本当に思っていることや考えていることを話せる相手作りは、自身 が動かないと得られないのです。せめてひとりでいいからサポーターを作れるコ ミュニケーションはつけていこうよ、と躾教育しています。彼等の「疲れた」は 「寂しいよ」なのだと、この頃実感しています。 *私が尊敬し共感する経営者に、ワタミ渇長CEOの渡邉美樹氏がいます。今 年4月に発行された『きみはなぜ働くか』から紹介致します。 → 常識とは、シャカイの約束なんだ。人に会ったら挨拶する、これは常識であ る。目上の人に敬語を使う、これも常識である。親を大切にする、当然常識だ。 世の中には「当たり前ではないか」ということがたくさんある。では、当たり前 って、それはどうして?と思う人がいたとすれば、それは理屈で説明することで はないのだと言いたい。たとえば、小さな子どもが倒れていたらたすけてあげる。 体の不自由な人が荷物を持っていれば、代わりに持ってあげる。弱いものに対し ては、強いものがたすけるということになっているのだ。今、人間が人間として 生きるうえでの常識が、少し欠如しているような気がする。約束を守ること、常 識である。たとえば、約束した時間を守ること。シゴトの始業時間であれば、き みがその時間から働くということを皆があてにしているのだ。(中略)人間とは、 それぞれ約束のなか責任を持って生きている。約束を果たすということは、人間 として最低限やらなければいけないことである。世の中は、一つの常識で動いて いる。きみたちの常識レベルとはいったいどこにあるのか。その常識のレベルを 上げていくことが、人間性を高めていくことにつながるのである。新年度にあり がたくタイムリーな、簡潔明瞭な良書です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━