━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━       □■□ 2009年を振り返って □■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━        *あと3日で今年も終わりとなり、私のカウンセリング外来も今終了しました。 ようやく、が実感です。毎日凄まじい臨床現場で命と真剣勝負する為には、私自 身この1年は自分の心身との闘いでした。外来に穴を空けることなく、無事に1 年が終わったことに安堵しています。 *直近の警察庁発表では、自殺者が今年1〜11月で既に30,181名に達し 、あと1ヶ月を残し3万人を超え、12年連続となるとの報道がありました。男 性が71%、女性が29%だそうです。また、厚生労働省の発表では、うつ病の 患者数(躁うつ病を含む)が、初めて100万人を超え、10年足らずで2,4 倍に急増しているとの内容でした。 *私宛のメールにも「死んじゃいたい」「消えてしまいたい」「どっか行っちゃ い たい」等々、SOSのメールが何通も届きました。その度に全力で本人と対 峙して、私の出来得ること全てを動き、不幸無く年末に至りました。が、まだま だSOSが出せない方が沢山いる社会の実態に、何とも無念で仕方ありません。 *うつ病にも種類がある、と以前のコラムでも提示しましたが、今外来で接する うつは殆どが現代型うつ病で、逃避型や気分変調型が占めています。軽いうつが ずるずると長引き、なかなか回復しないタイプです。この若者に多い現代型のう つに、会社や上司はどう対応していったらよいのか。今の復職支援はこの1点に 集中しているように思います。 *私の顧問着任の数年前からうつ病で休職していた社員は、ひたすら休養も良く ないという方針を持つ私に最初は戸惑っていたようですが、信頼関係が出来ると 次第にその本質の意味を理解し、今まで避けてきた自分と真摯に向かい合うトレ ーニングを続け、最近では欠勤することも無く通常勤務ができるようになりまし た。また別の社員は、自殺念慮がとても強い時期が頻繁にあり、私自身大変心配 をし家族も巻き込んでのケアを粘り強くしてきた方がいます。その結果ようやく 以前のような思考の回復を取り戻し、「今では元気に出張も出来るようになりま した!」とのメールをつい昨日もらった方もいます。本当に嬉しくて泣けちゃい ます。 *本年からスタートした日曜個人外来は、HP上だけの広報にもかかわらず、年 間を通して満杯状態でした。その現場で特徴的だったのが、家族で受診しに来る 方々の多さです。家族療法という治療方法がありますが、正しくそれを実践する 為の日曜外来でした。病気を治すのも家族、反対に病気を重くするのも家族なり 、と実感しています。メンタルケアは、本人や会社だけでは無く、家族も巻き込 んでのケアをしていかないと根本的な解決にはならないと痛感しました。 *今年も多くを臨床の現場から教わりました。負けないという信念と、感謝の気 持ちを常に持ちながら日々精進していきます。皆さんにとって来年は良い年にな りますように、こころからエールを送ります。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━