━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━          □■□ 産業カウンセラーの存在意義 □■□   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *フライト移動が多い中で、いつも感動する景色があります。 地上がどんなに暗く曇天で重く垂れ込めている日であっても、その雲を突き 抜けていくと、天空にはまばゆいばかりの光に包まれた真っ青な空が広がっ ています。上空ではこんな世界があったんだと、毎回私は新鮮な感動を覚え ます。 *その分厚い雲を抜ける時には、気流の関係で機体が大きく振動する場合があ ります。その度毎に、「只今から気流の関係で機体が揺れる場合がございま す。揺れましても、どうぞご安心下さい。」のアナウンスが流れます。その 説明を聞き、私達は多少の揺れにあっても安心していられる訳です。もしア ナウンスが無かったらきっと不安一杯になってしまいますよね。 *職場におけるメンタルヘルスケアの判断基準は、“働けるかどうか”だと思 います。より気持ち良く働けるかどうか、働き難さ(にくさ)があるとすれば、 それは何が原因なのか、その働き難さを取り除いていくこと、“働きやすい 職場環境の改善”このことが我々産業カウンセラーに求められている業務の 柱だと思います。 体調が悪いのであれば保健指導を行い、受診が必要なレベルであれば心療内 科へつなげていく。主治医や産業医、保健スタッフや総務人事担当者、上司 との連携をとる為にコーディネーターの役割をしていく。セクハラやパワハ ラ等のハラスメント関係が原因であれば、双方から話を聞き正確な現況把握 をして、必要であればマネージメントの再教育を行う。組織全体の諸問題を、 数字的にも現実的にも確実に掌握して、傾向に対する対策や施策を迅速に行 っていき、経営マネージメントに対するコンサルを行っていく。 等々、産業カウンセラーとしての日頃の業務には、多種多様の即座の判断と 対応が要求されます。今現場で山積されている事案は、傾聴だけでは決して 問題解決にはならないのです。    *傾聴をベースとして、その後いかにフォロー・対策提案・コンサルができる か、にかかっています。実際に日々の顧問先外来においては、本人とのカウ ンセリング人数が全体の半分、残り半分は、その部下に対して業務上どのよ うな点に気をつけて対応していったらいいのか、という上司へのアドバイス で占められます。 この問いに、精神疾患の確かな知識を持った我々がきっちり解答していく、 ここに産業カウンセラーの存在意義があるのです。精神疾患を治すのは、精 神科医や臨床心理士の先生達に一任です。その情報の共有をもって、我々は いかに職場において働ける=仕事ができる状態を増やしていくか、を上司や 関係者の皆と力を合わせて成し遂げていくことができるかどうか、だと痛感 しています。 *精神疾患とりわけうつの長く暗いトンネルの先には、必ず突き抜けるような 真っ青な広々とした空が待っています。私達産業カウンセラーは、クライア ントが安心できるナビをいつもいつも提示しながら、共に青空を見上げる日 まで責任をもって進んでいく、そんな不動の覚悟を持ちながら、存在価値の ある産業カウンセラーになっていきたいと思います。毎日激動の渦の中で、 へこたれないでめげないで前進あるのみ! 一人の覚悟は、必ず伝わります。人を組織を、必ず動かします。 これが私の産業カウンセラーとしての信念です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━