━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━        □■□ 家族が燃え尽きないように □■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  皆さん、お元気ですか? 新緑のこの季節、杉花粉もようやく下火になり、  清々しい空気を身体一杯に吸い込みたいですね。    うつの患者さんの中には、この時期は地球がザワザワしていて落ち着かない、  という方もいらっしゃいます。新芽があちこちで伸び始める季節をそう表現  するのですね。な〜るほどね、と感心したことがあります。  今月は、うつの患者さんのいる家族の対応についてです。  企業でのカウンセリングをさせて頂いていると、度々家族の方々との面談が  行なわれます。うつになって1ケ月の自宅療養が必要になった社員の家族へ  アドハイスをしたり、家族が近況を心配して相談に見えたり、いろいろなケ  ースがあります。  私は、精神疾患の患者さんにとって家族こそ本人を支える土台だ、と思って  いますので、家族の対応にも全力で臨みます。  その社員さんは1ケ月の自宅療養が必要となり、奥さんから対応のアドバイ  スを受けたい、ということでした。ご主人の診断を受けて、彼女はうつ病と  いう病気を調べて何とか理解しようと努力を続けていました。  「頭で理解はしていても、病気で元気がない主人に対して、私だって大変な  のに、何で私ばっかり、という感情がどうしても無くならない」との訴えで  した。このように家族の方々の心労は、想像を絶する程大変なものが存在し  ます。  私はまず、彼女の努力に敬意を表し、心労を労いました。そしてから、病気  の基本的な知識、回復は三寒四温で波があること、自宅では無理や気遣いは  あまりさせないように、適度な距離を持ちながら、温かな無関心の意味等々  をアドバイスしました。  そして、彼女自身へのご褒美を忘れないでね、と添えました。うつの本人を  支える家族の方々を多く見ていると、一緒に溺れてしまい共にうつになって  しまったり、懸命に支えていて燃え尽きてしまったりする家族を沢山知りま  した。  家族の支援こそ大切だな、というのが実感です。共倒れにならないように、  専門家として支えていくことも産業カウンセラーの大事な業務だと痛感して  います。  ご褒美というのは特別なことではありません。少しの時間でもいいから、自  分だけの為の時間を作ること、です。でないと毎日が辛く重くなってしまい  ます。  彼女はこの話しを聞いた途端、「そうですよね、がんばって踏ん張っている  んだから、ご褒美あげてもいいんですよね」と、それはとても嬉しそうな顔  をしていました。  少し元気になった彼女を見て、この瞬間からご主人の本格的な治療が始まる  んだ、と私は思いました。  どんなに良い医療スタッフがいても、やはり土台となる家族が揺らいでいた  ら、いい治療は届きません。何と言っても、家族!です。家族に勝る支えは  ありません。  今、うつの患者さんを支えている家族の方々のご苦労は筆舌に尽くしがたい  ものがあると思いますが、必ずその思いは通じていますから、どうぞご自身  にご褒美をあげながら、たまには真っ青な青空に向かって深呼吸をしながら、  一緒に支援していきたいと思います。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━