━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━         □■ 組織の品格と職場の環境改善 ■□ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *厚生労働省によるとストレスチェック制度で義務付けられた全国約14万か所の事業所  のうち昨年2017年6月末時点で、ストレスチェックを実施したのは82.9%でした。  実施率は従業員が多いほど高い傾向で、50〜99人の事業所では78.9%だったが、1.000  人以上の事業所になると99.5%に達していました。  しかし、職場の環境改善に生かしている事業所は37%で、従業員が参加して改善策に取  り組んだのはわずか4%だったとの事です。 *私はこの公表を知った時、想定内の結果に「やはり」の感でした。  導入間もないのに実施率が高いことには周知徹底に動いた側からすると安堵しましたが、  制度本来の大目的である『ストレスの原因となる職場環境の改善につなげる』は未達で  “ストレスチェック結果をどう生かしていくか”は今後の大きな課題となりました。 *開業以来今年で16年となり、5万人のカウンセリング臨床経験と10万人のストレスチ  ェック精査分析をしてきた私が実感することがあります。  個人のカウンセリング外来で、同じ程度の抑うつ状態でも直ぐに軽快に回復していく方     と、いつまで経っても改善が見られず時間を要する方がいます。  その差は何だと思いますか? 私は、ご本人の素直さが有るか無いか、だと思っています。 *この真実は、人の集まりである会社組織でも同様なことが言えるのです。私は組織にも  人格が有ると常々感じています。即ち、会社組織に品格が有るか無いかという事です。 *こころの専門家として、私はカウンセリングの他に組織心理学や多くの経験に基づき、  人事コンサルや経営コンサルもさせて頂いております。  現場の確かな状況をデータとして分析報告して、その組織に最適な具体的な対策を提案  していますが、その報告事項を素直に真摯に受け止めることが出来る組織は、職場環境  が見事に早期に改善していきます。 *ところが、●その報告内容が自身の立場を脅かすものだと知ると、担当者が保身になり  情報を途中で止めてしまったり●何度も何度も指導しても、改善しようとする意志が無  かったり●「会社の常識は世の中の非常識と言われちゃうんですよね」と複数の管理職  が口々にするのに、改善する動きが無かったり●常識や道徳が低かったり●コミュニケ  ーション能力が低くて真意が伝わらなかったり●責任感が低かったりする組織は、職場  の環境改善は停滞し更に悪化していきます。 *心療内科で治療していても、本人に治す意志が無ければ治り難いのと同じように、組織  が本気で『職場環境の改善をしなくては大変なことになる』という強い危機感を持たな  ければ、その組織の改善は不可能なのです。  私が誠意をもって尽力しても、組織に常識が欠如していたり、法令順守の意識が低く、  経営幹部に社員の命を守る覚悟が無い組織とは、当方は契約を辞退させて頂いています。 *また、職場の環境改善が進まない組織に共通している最重要事項は、社員様達のこころ  の中に『会社組織に大切にされている感が無い』ということです。このような組織では  「一生懸命働いているのに、会社は私達のことを人と思ってないんですよ」「我々は部品  にしか思われてなくて、故障したら交換すればいい位にしか思われていないんだ」等々  組織への不満がいつも噴出しています。 *人は大切にされている感が有ることで、自分の存在価値を実感できるのです。  働きやすさは福利厚生を充実させれば実感値は上がりますが、自身の成長を志し成果を  出すことに充実感を得るという、働きがいを持ってもらうことは会社経営には必須だと  思っています。  社員様達を大切にする経営者は、人財への思いがとても強く、ひとり一人のことをよく  熟知していて、TOP表明を度々発信しています。社員の皆さんは経営者の方針がわかり  方向性もわかるから、安心して働きがいを持てるのです。このような会社組織は業績が  良好で、社員様達の笑顔が本当に多く見られます。  反対に、自社の業績を上げることだけが最大の目的と勘違いして、社員達の顔も思いも  見ない経営をしていくと、多くの社員が疲労困憊して不平不満が増えて、労災が多発し、  業績も低下していくのです。 *やはり、会社組織は経営TOPで決まる、と痛感致します。中には、経営者の意識改革  まで踏み込んでいかなくてはならないケースも多々あります。  だから私は開業当初から、ストレスチェック集団結果の申送りは、中間管理職ではなく、  全ての経営幹部が集まる役員会や理事会で実施しているのです。  この動きは、外部の者だからこそ出来るものだと思っています。社内の方々は役員と言  えども会社員です。TOPへ物申すはなかなか出来ません。正論や常識が組織のどこかで  通らなくなってしまうから、不祥事が多く報道されているのだと思います。 *ここに、年々高ストレス者率が減少してストレス判定図も結果良好となっている組織の  経営者のコメントを申送りします。  「カウンセリング導入当初は大丈夫なのかな?と思っていたけど、藤井先生のこの方法は  本当に助かってるんです。社員の本当の思いがわかり、真の姿がよく見えてきた感じが  しています。会社を運営していく上で必要なことなんですね。ありがたいです。」  「社員の心と身体の健康を一手に引き受けて頂いて、感謝しています。全てお任せで安心  しています。専門家として全幅の信頼をしています。本当にお世話になっていて、あり  がとうございます。」  本当に嬉しいお言葉を頂き、有り難い限りです。 *AIが進化する時代になっても、最終的な判断や予期せぬ事態への対応には、人間の感性  や哲学に裏付けられた思考力が問われて、こころの専門家は更に重要になってきます。  会社組織の発展は社員様達の満足度にある!を肝に銘じて、厳しい現場の最前線で更に  臨床を積み上げ、プロとして精進していく決意です。  今年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。                                       以上