━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■□■ 学会報告NO.2 ■□■ 第13回 日本うつ病学会総会 「うつ病・双極性障害を診る・支える・知る」 2016/8/5・6 名古屋in ウインクあいち ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━   ◇6〜8月のメルマガは、6月の日本産業精神保健学会と8月の日本うつ病学会総会    に出席して、私が聴講した中でストレスチェックに関する内容を申送り致します。     <表記:◎=抄録集全文 ○抄録集抜粋 ・=藤井メモ>  *ワークショップ 「ストレスチェック制度、現状の課題と将来の有効活用を考える」                       大同特殊鋼(株) 産業医 斉藤政彦 先生  ◎平成27年12月1日改正労働安全衛生法の施行に伴い、従業員50人以上の事業場へ、  労働者に対する一年以内に一回のストレスチェックの実施が義務付けられた。情報伝達や  データ管理、医師面接における対象者の選定方法など、多くの課題が山積している。  そんな中、最大の問題点は、事業者責任の低減と労働者の自己責任、および実施者の管理  責任の増大である。本人の了解なしに、結果は実施者に留まり、事業者へは渡らず、たと  え不調でも本人が申し出なければ医師面接を受けられないからである。  この問題に対しては、事業者、産業医(実施者)、労働者が、信頼関係の下に、それぞれの  役割を果たしつつ、連携協力していくことが大切であろあう。  その一方で、前向きに活用する姿勢も重要である。職場で取り組むのは予防である。予防  には、一次予防(発症予防)二次予防(早期発見)三次予防(再発防止)があるが、中で  も一次予防が最も効率的である。  ストレスチェックの目的は、メンタルヘルス不調の未然防止、すなわち一次予防にあると  いう。一次予防には、個人レベルと集団レベルが考えられる。個人レベルとしては、結果  を受け取った本人が自己のストレス状態やストレス要因を知ることで対策を実践する。更  には希望した高ストレス者が医師面接を受け、事業者が医師の意見を参考に、事後措置を  実施することによって職場環境が改善して、一次予防につながる。ただし、これら個人レ  ベルでの対応には限界がある。  一方、努力義務ではあるものの、集団分析の結果を元に、職場で全員参加のワークショッ  プを開催して、ストレス源などの問題点を整理し、優先順位をつけて改善に取り組む手法  には、大きな効果が期待できる。  近年、産業界では「健康経営」という理念が注目されている。労働力を重要な経営資源と  して捉え、従業員の健康へ適切に投資して、健康で活き活きと働いてもらうことで、生産  効率を上げ経営を安定発展させる、というものであり、経済産業省主導で『健康経営銘柄』  を毎年、選定・公表している。メンタルヘルス対策における一次予防は、快適職場を作り  生産性を上げることであり、健康経営の理念と合致している。  昨年、厚生労働省から出された将来の医療を見据えた政策提言『保健医療2035』において  ストレスチェック制度に関する部分では、「集団分析とそれに基づく職場環境改善を義務化  することの検討」が盛り込まれている。集団分析とその結果に基づく職場環境改善に積極  的に取り組むことで、快適職場が創生されれば、労働者にも事業者にもストレスチェック  制度の真価が実感できることであろう。  ○『保健医療2035』では、・従業員50名以下の事業場でもストレスチェックが義務化   ・集団分析に基づく職場環境の改善も義務化、の方向で国は動いている。  ○健康銘柄になった某会社は、年間20回のメンタル研修を実施して、教育を強化してい   る。  ○産業保健の現場では、産業医が責任が負えない、としてストレスチェックを引き受けて   くれない会社もある。  ○実際、医師の面接指導を希望する社員は、1,000人に1人程度。これが実態。                                       以上