━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━         ◇◆ 産業現場に影響する法案の成立と改正 ◆◇ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *労働安全衛生法の改正と共に、産業現場に大きく影響する法案の成立や改正が連立  しています。時代が変われば、法律も変わってきます。  これらはメンタルヘルスの知識が必要な法案ばかりです。  コンプライアンスの観点からも、内容を把握して遵守していきたいものです。 □労働安全衛生法の改正−−*平成26/6/25公布              *施行日=平成27/12までに施行  ・精神障害の労災認定件数が3年連続で過去最高を更新する等増加の現状を受け、   労働者の健康状態を把握し、メンタル不調に陥る前に対処する必要性がある。  ・労働者の心理的な負担の程度を把握するための、医師・保健師等による検査   (ストレスチェック)の実施を事業者に義務づける。   但し、従業員50人未満の事業場については、当分の間努力義務とする。  ・検査結果は、検査を実施した医師・保健師等から直接本人に通知され、本人の同   意なく事業者に提供することは禁止される。  ・ストレスチェックを実施した場合には、事業者は、検査結果を通知された労働者   の希望に応じて医師による面接指導を実施し、その結果医師の意見を聴いた上で   必要な場合には、作業の転換、労働時間の短縮その他の適切な就業上の措置を講   じなければならないこととする。  ・医師による面接指導を申出た労働者に対し、申出を理由とする不利益な取扱いは   禁止される。  ⇒厚生労働省HPより @『労働安全衛生法の一部を改正する法律』<概要>            A『同 上』<パンフレット>    別添を参照下さい。 □過労死等防止対策推進法の成立−−*平成26/6/27公布                  *施行日=平成26/12までに施行  ・国には過労死防止策を効果的に進める責任がある。  ・11月を過労死防止啓発月間にする。  ・過労死の状況や対策を、毎年報告書(白書)にまとめる。  ・具体的な防止策を盛り込んだ過労死防止大綱をつくる。  ・過労死の恐れがある人や家族が相談できる体制を整える。  ⇒厚生労働省HPより『過労死等防止対策推進法』<要綱> 別添を参照下さい。 □道路交通法の改正−−*平成25年改正 *平成26/6施行  ・道路交通法では平成13年の改正以来、公安委員会に、一定の症状を呈する病気に   かかっている者について、運転免許を認めない・保留・取消し・停止等を行う権   限を認めている。   一定の症状を呈する病気とは、○統合失調症○てんかん○再発性の失神○無自覚   性の低血糖症○躁うつ病(躁病及びうつ病を含む)○重度の睡眠障害○脳卒中   ○介護保険法上の認知症○アルコール、麻薬、大麻、あへん、覚醒剤の中毒者  ・病気に関わる質問への回答を義務化。  ・虚偽記載に罰則を定める。  ・医師の届出制度が新設された。医師は上記の病気に該当すると認められ、免許   を所持している者を診察した場合に、その結果を公安委員会に届け出ることが    できるとされた。 □自動車運転死傷行為処罰法の成立−−*平成25/11成立 *平成26/4施行令発布  ・薬物や特定の疾患によって運転に支障が生じるおそれがある状態で死亡事故を   起こした場合、致死で15年、致傷で12年以下の懲役が科せられることになっ   た。  ・今年4月に「政令で定める病気」として6項目が挙げられた。   ○統合失調症○てんかん○躁うつ病(躁病及びうつ病を含む)○再発性の失神   ○低血糖症○重度の睡眠障害 *更に、障害者の法定雇用率が平成25年4月から2,0%に引き上げられましたが、  障害者雇用促進法の改正で、平成30年4月から精神障害者の雇用義務化となり  ます。 *また今年3月には、健康づくりのための睡眠指針2014が公表されました。  ⇒厚生労働省HPより『健康づくりのための睡眠指針2014』別添を参照下さい。 *今や企業は、精神医学の基礎知識を持っていないと労務管理ができない時代です。  メンタルヘルスの経営者研修で私は、「100人の社員がいれば10人は心療内科で  治療しているのは普通です」と申し上げると、多くの経営者は「まさか」という  顔を必ずします。けれど、実際にカウンセリングが始まり現状が把握されると、  10%位は心療内科の患者さんです。それより多くの治療中社員のいる組織も多々  あります。  服薬していること、治療していることを、社員は会社へは決して言いません。  だから、危機管理が甘くなってしまうのです。  現状の真の把握をしない限り、情報漏えい・技術流出・フードディフェンス等の  リスクマネージメントはできません。 *メンタルヘルス対策は、最重要な経営マネージメントです。  年1回身体の健康診断を受けるのと同じように、年1回こころのストレスチェッ  クを実施していく時代がいよいよ始まります。  今年の下半期は、ストレスチェックの義務化法案を受けて“概要と実施にあたっ  ての留意点”の講演依頼が只今殺到しています。  開業以来11年間ストレスチェックをしてきた実績から、産業現場で正しく運用し  ていくためのノウハウを申送りしていきたいと思っています。