━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━          ◇◆ ストレスチェック実施の留意点 ◆◇ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ *1/23厚生労働省が発表したストレスチェックの義務化を受けて、現在多くの企業様から  問い合わせを受けています。労働安全衛生法の一部を改正する法律案にストレスチェッ  クの義務が盛り込まれたことで、企業担当者が敏感に反応している現状です。  企業にとって労働安全衛生法の改正は最重要事項なのだと痛感します。 *「安衛法の改正だからやらざるを得ないが、何から手をつけたらいいのかわからない」  「ストレスチェックをしたら、殆どの社員が高ストレス状態になるのではないか?」  「寝た子を起こすことなり、不調者が急増するのではないか?」  「厚労省指定の9項目を見たが、これで高ストレス状態だと本当にわかるのか?」  「メンタルヘルス対策は今まで場当たり的に対応してきたが、この機会にきちんとメン   タル体制の整備をしていきたい」等々。  産業現場では早々とストレスチェック実施への動きが始まっています。 *そこで、開業以来ストレスチェックを行ってきた経験から、実施の留意点を提示します。 ○ストレスチェックは、検査結果に基づいての事後措置→職場改善の対策が伴って初めて  意義があるものなので、検査のための検査で終わらせないことが大切です。 ○いきなりのストレスチェックの実施は厳禁です。  ある事業所ではメンタル研修を受けた上位管理職がシートを配布して所属長へ提出する  よう指示したところ、一部の部署では「あの上司には提出したくない」と社員から拒否  されて回収出来ず、職場内の雰囲気が悪化したという事案もあります。  検査の意義や目的を十分に理解されないままにストレスチェックをすると、正確な回答  が得られないばかりでなく、メンタルヘルス対策そのものに不信感を抱かせる場合もあ  るので注意が必要です。 ○そのためには、実施する順番が重要です。 @ 実施目的の明確化や時期の検討、結果を基にして何をするのか、どのように扱うの   か等を安全衛生委員会で十分に議論して、組織として実施決定をする A @の内容を文章化して、社内通知で周知徹底させる  ◇対象:全社員  ◇時期:健康診断時orメンタルヘルス研修時  ◇回収方法:健診時や研修時の実施は専門家が直接回収でき、上司や総務人事経由で        は無いので安心感がある        回答内容が他人に知られることが無いように、回収用の封筒を用意する ◇目的の明確化:ストレスの状況を把握するためのものであり、精神疾病を判定する         ものではないこと、職場環境を改善するためのものであることを明         記する ◇特記事項:個人情報の保護は厳守する        回答結果である個人情報の閲覧は、産業医や保健スタッフに限る        専門家が精査分析を行い、結果内容は会社のメンタルヘルス対策に役立        てるのみとする        個人の人事考課や評価には一切流用しない B 結果報告 個人宛に結果通知を行う C 対応   本人の申し出に応じて、医師による面接指導を実施する        医師の指導により必要な場合には、適切な就業上の措置を講じる D 職場環境改善 検査を実施した専門家から個人が特定されない形で職場別の結果を          入手して、現状把握と職場改善のための対策を推進する   ○ストレスチェックは医師又は保健師という専門家による実施が原則で、素人が実施す  ることは出来ません。素人では検査結果データの精査分析が出来ないので危険です。  更に、結果は現場の声として捉え現状把握を行い、具体的な対策をしていく必要があ  るので専門家からのコンサルは重要となります。 ○厚生労働省指定の9項目は、「職業性ストレス簡易調査票」から抜粋した9項目です。  *疲労→@ひどく疲れたAへとへとだBだるい*不安→C気がはりつめているD不安だ  E落ち着かない*抑うつ→FゆううつだG何をするのも面倒だH気分が晴れない  従業員50人未満の小規模事業場においては依然としてメンタルヘルス対策が遅れてい  るために、中小企業も実施できるように最低基準として抜粋した9項目です。 ○当方では指定9項目に加え、従来実施してきた「労働者の疲労蓄積度自己診断チェック  リスト」で勤務の状況を把握して仕事による負担度を検査し、更に重要項目で構成した  「生活習慣アンケート」も実施します。この生活習慣のアンケートはとても重要と認識  しています。点数の結果が低い得点の人でも、生活習慣で・2食欠・不眠・身体症状多  発・お酒過多・たばこ過多の人達を心療内科へ繋げたところ、抑うつ状態やうつ病、そ  の他精神疾病の診断となった人が多かったからです。 *2/4には労働安全衛生法の改正案が労働政策審議会から答申を受けたとのことです。  安衛法改正となりメンタルヘルス対策が法律により強化される時代となります。  新たな局面を迎え、専門家として襟を正す思いでおります。