━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━          ◇◆◇ 2006長月のコラム ◇◆◇      ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ * 清々しい朝の澄みきった空気、真っ青な高い空、鈴のような虫の音色、   そしてどこからか風に運ばれてくる金木犀の香り。私はこの秋の気配、   中でも金木犀の芳香が大好きです。   この香りに接すると、過酷な夏からようやく過ごしやすい秋に季節が   移ったんだな、とホッとします。   今朝の奥日光などは、初氷初霜が観測されたそうですよ。   季節は確実に変化しているのですね。 * 心の健康を守るために何をしたらいいですか?良く受ける質問です。   予防対策としてもとても重要です。   今年7月に日本うつ病学会が開催されましたが、その市民講座の中で   慶應義塾大学の大野裕先生は次のようにご教授下さいました。   「ものの受け取り方や考え方を意味する認知Cognitionに加えて、   環境や心を自分が主体性を持ちながらコントロールしているという   コントロールControl感覚、ほかの人と分かり合い助け合えるような   人間関係を築いていけるようなコミュニケーションCommunication、   の3つを大切にするのが望ましい。   ある程度のストレスを受けた時でも、柔軟でバランスのとれた   ものの見方をしながら、自分を見失わないで問題に対処し、   まわりの人たちとお互い助けあえるような人間的つながりを   持つことが、うつの治療でも、心の健康を守るためにも重要なのである。」   (学会抄録集より) * 大野先生の指導に、私をはじめ周囲にいた臨床現場を踏んでいる   専門職達は大きく頷いていました。   本当にその通り、だと実感しています。   認知の偏りや歪みがあったり、主体性が無くて環境に流されて   いってしまったり、反対に何でも周りの人達が悪いと決めつけていたり、   相手に自分の思っていることや考えていることをうまく   表現できなかったり、等々の人々がどうも心の健康を損ねていると   実感します。   その事に本人が気づかない、ところに不幸があるのです。   気づかせようとこちらは努力するのですが、素直でなかったり、   反発してドクターショッピングをして更に症状を悪化させていったり。   少しでも改善するようにと願って、毎日のようにそれぞれの人生の   ドラマと対峙しています。 * うつが回復していった方々が必ず言う台詞があります。   朝まで難なく眠れること、ご飯がこんなに美味しく食べれること、   こんなあたり前の普通のことが出来ることに、   今はすごく感謝しています、こういう内容です。   普通に毎日が過ごせることに私はもっともっと   感謝していかないといけないな、といつもそう思います。   と同時に私を支えてくれている家族に最大の感謝でいます。   * 食べ物が美味しい季節になりました。   どうか家族の方々と楽しい団欒の食卓を囲んでいただき、   効果抜群の心の栄養を入れてあげて下さいね。   ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━